anohi

岩国駅で、切符を買った。電車が来るのを待っていると、JR山陽線がホームに滑り込んできた。沿線からは、海が見える。見逃すのがもったいなくて、椅子には座らなかった。キラキラと太陽が照らす水面を車窓から眺めながら、この街で暮らす人々はなんて贅沢なのだろうと思った。

海に着く頃には、もう日が沈み始めようとしていた。美しい砂浜に、透き通った波。迷わずに靴を脱いで、波打ち際に立つ。冷たい海の水がわたしの足に押し寄せる。おろしたてのワンピースが濡れることも構わずに、無我夢中で水を蹴った。わたしが作り出すひとつひとつの飛沫が、夕日に照らされ、ビー玉のように光っていた。

濡れてしまったワンピースをそのままにして堤防に座り、ぼんやりと目の前の景色を眺める。誰かが筆で描いたような雲と、もやがかかった水平線。ぼーっと波の音を聞いていると、わたしの頭の中の、がちゃがちゃとした考え事も、やんわりと角がとれていく。寄せては返す波がまるで、泡のように優しくわたしを包み込み、心にかかったもやを取り除いてくれた。

あの日のヘイジー

瀬戸内の海で波を蹴り、防波堤から見つけたあの景色。少し霞んだ空模様と、波のような炭酸を表現したHAZY IPAです。
AVB : 4.5% | IBU : 20
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

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